レッスン・教育

「練習して!」が伝わらないのは、やる気のせいではないかもしれません

~幼児期(2〜5歳頃)の子どもの発達~

今回から、お子さんの発達段階に合わせたピアノとの関わり方について、年齢ごとにお話ししていきます。

第1回は、幼児期(2〜5歳頃)です。

「先生、家では全然練習してくれないんです…。」

幼児の保護者の方から、よくいただくご相談です。

でも、私はこう考えます。

「それは、とても自然なことです。」

幼児のお子さんは、「練習すると上手になるから頑張ろう」と考えて行動するよりも、 「楽しい!」「もっとやりたい!」という気持ちが原動力になることが多い時期です。

つまり、「練習」という感覚よりも、「遊び」や「楽しい体験」の延長として音楽に触れているのです。

だから、この時期に大切なのは、「毎日練習しなさい」と言うことではなく、

「ピアノって楽しい!」という気持ちを育てること。

レッスンでも、ご家庭でも、「できたね!」「すごいね!」と喜びを共有したり、    一緒に歌ったり、リズム遊びをしたり…。

そんな小さな積み重ねが、「また弾きたい!」という気持ちを育ててくれます。

もちろん、ご家庭でピアノに向かう時間を作ることは大切です。

でも、幼児期は「たくさん練習すること」より、「ピアノが好きになること」を優先してあげてほしいと思います。

音楽が好きになった子は、その先で「もっと上手になりたい」という気持ちが自然と育っていきます。

私自身、34年以上たくさんのお子さんと接してきましたが、幼児期に「楽しい!」という土台ができたお子さんほど、小学生になってからぐんぐん伸びていく姿を何度も見てきました。

焦らなくて大丈夫です。今は、お子さんの笑顔と「もう一回弾きたい!」という気持ちを大切に育てていきましょう。

幼児期は「テクニックを作る」のではなく、「土台を育てる」時期

幼児期は、まだ手や指の筋肉、骨、神経の発達が途中です。

そのため、この時期から指の力だけを鍛えようとしたり、「指を丸く!」「しっかり立てて!」と形ばかりを意識しすぎても、かえって力みにつながってしまうことがあります。

だからこそ、私はまず音楽の土台を育てることを大切にしています。

例えば、身体を使って拍を感じたり、歌ったり、歩いたりしながら拍感を身につけること。

この経験は、将来さまざまなリズムを自然に感じ、表現できる力につながっていきます。

また、鍵盤にもいろいろな触れ方があります。

やさしく触れる、腕の重さを感じる、指先で音を感じる…。

幼児期から「音を鳴らす」だけではなく、「どんな音がしたかな?」と耳を育てる経験を積み重ねることで、成長したときに音色の違いを表現できるようになっていきます。

私は、幼児期は「今すぐ上手に弾けること」よりも、将来、美しい音で音楽を表現できる力を育てる準備期間だと考えています。


次回は、「小学校低学年(6〜8歳頃)」についてお話しします。