レッスン・教育

小学校高学年(11〜12歳頃)の子どもの発達|上達だけではない、ピアノを続ける意味

11〜12歳頃の子どもの発達

小学生高学年から中学生へむけて、子どもたちは心も身体も大きく変化していきます。

勉強に加え、学校でのこと、友達とのこと、部活動など、生活の中で考えることも増えてきます。

そして、これまで続けてきた習い事についても、少しずつ「これからどうする?」と考える時期になります。

ピアノも、その一つですね。

「塾があるから、ピアノはやめます。」

そんなお話を聞くことがあります。

もちろん、勉強は大切です。

でも私は、この時期にピアノをやめてしまうことを、とても残念に思うことがあります。

なぜなら――

実は、この頃からこそ、音楽が必要になる時期だからです。


いろいろな曲が弾けるようになってくる

幼い頃からピアノを始めた子どもたちは、これまでたくさんの経験を積み重ねてきました。

音符を読む。

リズムを感じる。

指を動かす。

音を聴く。

楽譜を見ながら、自分で考えて弾く。

そうした一つひとつの経験が、長い時間をかけて積み重なっています。

そして小学校高学年になる頃には、ようやく自分の弾きたい曲にも挑戦できるようになってきます。

モーツァルトやベートーヴェンなど、これまで憧れていた曲にも手が届くようになってきます。

「こんな曲も弾けるようになった!」

そんな喜びを感じられるのも、この時期です。


ここで終わってしまうのは、もったいない

私は、子どもの成長を植物にたとえることがあります。

幼い頃に種をまき、少しずつ芽が出て、

時間をかけて根を張っていく。

そして、たくさんの経験を積み重ねた先に、ようやく蕾ができてくる。

小学校高学年は、まさにそんな時期なのではないでしょうか。

今までたくさんの種をまいて、ようやく蕾ができてきたのに。

そこで、「塾があるからピアノはやめる」という選択をしてしまうのは、私はとてももったいないと思うのです。


思春期だからこそ、音楽を

この頃から、子どもたちは思春期へと入っていきます。

心が揺れたり、自信をなくしたり、周りと比べたり。

昨日まで元気だったのに、今日はなんとなく気持ちが乗らない。

そんな不安定さも出てきます。

だからこそ私は、この時期にこそ音楽に触れていてほしいと思っています。

ピアノを弾くことは、頭を使って考えることでもありますが、同時に、自分の心に耳を傾ける時間でもあります。

美しい音に耳を傾ける。
自分の気持ちを音にする。
音楽の中にあるものを感じる。

そうした時間が、揺れ動く心に寄り添ってくれることもあると思っています。


音楽をする意味は、楽譜が読めることではない

私は、音楽を学ぶ意味は、楽譜が読めるようになることだけではないと思っています。

楽譜に書いてある音を、ただ正しく並べて弾く。

それだけではありません。

作曲家は、なぜここにこの曲を書いたのだろう。

なぜここで音が上がるのだろう。

なぜ突然、雰囲気が変わるのだろう。

そんなことを考えながら楽譜を読み、

作曲家が音楽に込めた想いを感じ、心を通わせながら楽しむ。

それが、音楽の大きな喜びだと思っています。

だからこそ、これまで身につけてきたテクニックは、そのために使ってほしいのです。


「上手になる」だけではなく「心を育てる」

小学校高学年から思春期へ。

この時期は、上達だけを追いかけるのではなく、心や感性を育てることも大切にしたいと思っています。

ピアノを弾く時間が、勉強の邪魔になるのではなく、忙しい毎日の中で、自分自身と向き合う時間になってほしい。

「きれいだな。」
「この音、好きだな。」
「なんだか今日は、この曲が心に響くな。」

そんなふうに感じられる心は、テストの点数のように数字で表すことはできません。

でも、きっとこれからの人生を豊かにしてくれる、大切な力になると思っています。


ピアノは、心の拠り所にもなる

卒業した生徒が、こんなことを話してくれたことがあります。

「卒業してから気づいたことがあって、中学や高校の頃、週に30〜40分のレッスンだったけれど、あの時間がどれだけ自分の気持ちの拠り所になっていたか分からない。何にも邪魔されず、自分と向き合えた大切な時間だった」

この言葉は、今でも私の心に残っています。

また最近、社会人になった生徒から、

「先生と一緒にやってきた時間を懐かしく思い出すことがあって、またレッスンに行きたくなりました」

と連絡をもらいました。

その言葉を聞いて、私は改めて思いました。

ピアノを続ける意味は、
「上手になること」だけではないのだと。

学校のこと、勉強のこと、人間関係のこと。
いろいろなことを抱える時期だからこそ、週に一度、何にも邪魔されず音楽と向き合う時間が、その子にとって心の拠り所になることがある。

だから私は、思うように練習できない時期があっても、ピアノを完全に手放さなくてもいいと思っています。

毎週きちんと練習できなくてもいい。
以前のように弾けない時期があってもいい。

週に一度、30〜40分でもいい。

その時間が、音楽と向き合い、自分自身と向き合える時間になるのなら、それだけでも十分意味があると思うのです。

幼い頃に蒔いた種が、芽を出し、根を張り、ようやく蕾をつける頃。

ここからは、ただ「上手になる」ことだけを目指すのではなく、音楽を感じる心、さまざまなものを感じる心を育てていってほしい。

そしていつか大人になったとき、

「あの頃、ピアノを続けていてよかった」

と思ってもらえたら。

それは、私にとって何より嬉しいことです。

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